先日、こんなツイートをしました。
帝王賞で「松田ふざけるな!レース乱れただろ!」って言ってる人いるけど、僕には松田騎手が勝つために取ったイチかバチかの作戦に見えた。ルール破った訳でもなく、これが一発勝負の競馬。レースが乱れる事もスタート遅れる事も前が壁になる事も西日になる事もある。一発勝負何があるか分からない
Twitterより
2022年帝王賞。
松田大作騎手は、向う正面からグングン位置を上げていく「まくり」をした事へのツイート。
僕のツイートには、賛否両論、色んな意見が交わされました。
このまくりが良いのか悪いのかは、分かりません。
が、まくり競馬によって、見事な勝利を修めたレースは、いくつもあります。
そこでこの記事では「まくり競馬5選」をご紹介します。
まくり競馬1選目:2018年スワーヴリチャード大阪杯
お!っと驚くまくりを見せてくれたスワーヴリチャードとM.デムーロ。
ドバイで走ったり、ジャパンカップを制したりと国際的なレースでも好成績を残しているスワーヴリチャード。
初のGⅠ制覇、18年大阪杯では、お!っと驚くまくりでの勝利でした。
1番人気での出走、大阪杯
ペルシアンナイト、アルアイン、ダンビュライト、トリオンフ、ウインブライト…。
2018年の大阪杯は、4歳馬に強豪ぞろい。
そんな中、一番人気に推されたのはスワーヴリチャードだった。
大阪杯スタート。
スワーヴリチャードは18頭中15番目の位置と、かなり後方待機。
1000mの手前からグイグイと位置を上げまくりを見せていくスワーヴリチャード。
グーンとまくり、残り800mでは、もう横並びの先頭。
直線では先頭で逃げる格好。
衰え知らずの脚で、猛追してくる他馬を寄せ付けず先頭でゴール!
鞍上M.デムーロ騎手の好判断と好騎乗も光った。
まくりは馬の能力ももちろんだが、騎手の判断力と胆力も必須だと痛感した2018年大阪杯だった。
まくり競馬2選目:2017年キセキ菊花賞
大人気アイドルホースのキセキ。
(ちなみに筆者マツダイはアイドルホースってのが嫌いです。詳しくはこちら)
2歳でデビューし、7歳という年齢まで第一線で走り続けたキセキ。
そんなキセキの菊花賞は、色んな意味で「荒れた」一戦でした。
台風ショック!ドロドロの菊花賞
2017年の菊花賞は、台風の影響もあり不良馬場。
ただでさえタフな菊花賞で、史上まれにみる最悪コンディションとなった。
キセキは1番人気。
スタートし、18頭中14番目と後方待機。
ドロドロで末脚が活き難い状態の馬場コンディション。
ここからイケるのか…。
しかし、キセキは3コーナー過ぎから徐々にまくり進出。
直線では大外で7番目辺りからグイグイ伸びる。
残り200m辺りでグンと伸びて先頭に並びかける。
残り100m辺りで先頭。
勢いそのまま2着に2馬身差をつける勝利となった。
ゴール後、鞍上のM.デムーロ騎手のドロドロの勝負服が、いかにタフな馬場コンディションだったかを物語っていた。
ドロドロで荒れていた馬場。
しかし、荒れていたのは馬場だけではない。
一番人気のキセキが勝利したが、2着には10番人気のクリンチャー、3着13番人気ポポカテペトル。
3連単は559,700円。
これは当時の菊花賞最高払い戻しを記録した。
荒れた馬場に、荒れた結果…。
色んな意味で荒れた2017年菊花賞だった。
まくり競馬3選目:ディープインパクト2006天皇賞春
史上2頭目「無敗の三冠馬」
サンデーサイレンス最高傑作。
日本近代競馬の結晶…。
競馬ファンでなくても、名前は聞いた事がある1頭ディープインパクト。
直線では、走っているのではなく「飛んでいる」ようなキレッキレな末脚を見せていたディープインパクト。
そんなディープインパクトの天皇賞春は、意外にもまくりでの飛びだった。
飛ぶ位置が早かった天皇賞春
明け4歳での天皇賞春。
単勝オッズ1.1倍の圧倒的一番人気で臨んだ一戦。
スタートしていつもの後方待機。
17頭中14番目の位置を折合いをつけ走るディープインパクトと武豊。
このまま直線「飛ぶ」かと思われた、が!
3コーナー手前からグーーんと上がってくるのはディープインパクト。
それまでの直線での飛びではなく、まくりでの飛び。
ぐーーんと伸びて直線入った時には、もう先頭!
そのまま「逃げる」格好になり、後続に3馬身半差をつけて勝利。
3コーナーまでがゆっくりしたけど、この馬ならと思って
と、まくり競馬を振り返る武豊。
インタビュアーの
今日は飛んだという表現でいいんですか?
という質問に
飛びましたねぇ。ちょっと飛ぶ位置が早かったですけどね(笑)
と答える武豊。
「これ以上強い馬がいるのか」
天才・武豊に、この一言を言わせるほどの名馬ディープインパクト。
天皇賞春での勝利は、いつもよりも早い位置で飛んだ「まくり競馬」だった。
まくり競馬4選目::2011年オルフェーヴル菊花賞
希代の暴れん坊にして三冠馬のオルフェーヴル。
そんな彼の3冠目菊花賞は、まくり競馬での勝利だった。
手応え十分、圧巻の三冠制覇
3冠制覇がかかった一戦、菊花賞。
道中は18頭中10番目辺りを、じっくり折り合いをつけて走る。
3コーナー過ぎ坂の下りから仕掛け、4角ではほぼ先頭に並ぶ3番手。
追うものはなし!
の、実況通り直線は独走。
オルフェーヴルと池添謙一は、見事三冠制覇を成し遂げた。
まくり競馬5選目:2008年オウケンブルースリ菊花賞
2008年の菊花賞馬オウケンブルースリ。
オウケンブルースリの菊花賞も、まくりのレースとして見応えのあるレースです。
オウケンブルースリは、それまでとは違う経歴を持ち菊花賞馬になりました。
デビューが遅かったオウケンブルースリ
オウケンブルースリがデビューしたのは、4月26日。2着。
クラシック第一冠「皐月賞」は4月20日。
オウケンブルースリは、皐月賞が終わって翌週のデビューだった。
初勝利を挙げたのはデビュー3戦目の6月8日。
勝利した時には、ダービーは終わっていた。
そこから、一気に力をつけたか、古馬相手の夏競馬で連勝。
9月28日の神戸新聞杯に出走。
「夏の上がり馬」として注目もあり、皐月賞、ダービーどちらも未出走ながら2番人気。
結果3着だったが、これで菊花賞への優先出走権を獲得した。
迎えた菊花賞
皐月賞3着、ダービー4着の弥生賞馬マイネルチャールズ。
スプリングSを勝ち、ダービー2着馬のスマイルジャック。
春のクラシックを沸かせた馬たちがたくさんいる中、一番人気は春のクラシック未出走のオウケンブルースリ。
菊花賞スタート。
オウケンブルースリは18頭中12番手と後方待機。
3コーナー手前で鞍上の手がゴンゴン動き、前へ前へと行く。
直線では大外の2番手辺り。
まくりの仕掛けながらも、グイグイ伸び、猛追してくるフローテーションを振り切り、1着でゴール。
鞍上・内田博幸騎手ガッツポーズ。
それもそのはず、内田騎手はこれが初めてのGⅠ勝利だった。
デビューから184日でのGⅠ制覇は、当時の最短記録。
春のクラシック未出走馬が、夏に力をつけ、秋にはクラシックを制覇…。
やっぱり競馬は面白いと思える、2008年菊花賞馬オウケンブルースリのまくり競馬だった。
まくり競馬はワクワクだ!
![](https://matsudaikeiba.com/wp-content/uploads/2021/08/racecourse-637475_640_R.jpg)
まくり競馬を5選、紹介しました。
早めの仕掛けまくり。
ペースやレース展開の読みと、騎手の判断力と胆力が試されるまくり。
レースを乱してしまうかもしれません。
予想から大きく違った展開になるかもしれません。
まくりをした馬や騎手を怒りたくなるかもしれません。
しかし、筆者マツダイは思うのです。
まくりがあると、競馬はもっとワクワクする!
と。
3コーナー手前からグイグイと位置が上がっていく馬を見ると、勝負に行った感じがして、ワクワクするのです。
今回ご紹介したレースでも、まくりをしている時に、歓声が上がっているレースがあります。
きっと、僕と同じようにワクワクした人がいたのでしょう。
レースやペースを乱すかもしれない、まくり。
でも、まくりがあるから、競馬はもっとワクワク出来るのです。
まくりがあると、レースとして競馬がもっと面白いものになると思っています。
非難もあるけど、ワクワクして面白いまくり。
アナタもお気に入りの「まくり競馬」を探してみては、いかがでしょうか。